Creator’s Lounge/橘オレコ氏に聞く

『プロミス・シンデレラ』③巻&『#バツイチアラサー女子と男子高校生』同時発売記念

橘オレコスペシャルインタビュー
異色のスピンオフ作品誕生の秘密に迫る!

バツイチアラサー主婦・早梅(はやめ)とお金持ちの男子高校生・壱成(いっせい)のもどかしい恋模様を描き大ブレイク、単行本既刊①~②巻の累計が早くも22万部(※1)を超える人気作品『プロミス・シンデレラ』の待望の最新③巻が発売された。同時に、連載中作品の登場人物たちの、半年後の姿を描いた異色のスピンオフ作品『#バツイチアラサー女子と男子高校生』(全1巻)も発売。2冊の発売を記念して、作者の橘オレコ氏に2作品の裏側について聞く。
※1:電子版含む

プロフィール

『プロミス・シンデレラ』3巻『#バツイチアラサー女子と男子高校生』

橘オレコ

2017年に小学館のコミックアプリ「マンガワン」にて読み切り『主任様と新人くん』で商業デビュー。2018年1月1日より「マンガワン」とWEBコミックサイト「裏サンデー」にて『プロミス・シンデレラ』を連載中。同年6月より10月まで、pixivコミックにてスピンオフ作品『#バツイチアラサー女子と男子高校生』を連載。

――『プロミス・シンデレラ』(以下、『プロミス~』)に対して、『#バツイチアラサー女子と男子高校生』(以下、『#バツイチ~』)は同じ登場人物たちの半年後の様子を描いたストーリーです。まだ結末が見えない物語の、少し先の未来を別作品として連載するというのは非常に珍しいと思うのですが、スピンオフ作品が誕生した経緯を教えてください。

『プロミス~』の連載を準備している中で、登場人物たちについて考えていたらどんどん早梅と壱成のエピソードが浮かんできて、楽しくなっちゃったんです。連載では思いついたエピソードにたどり着くまでしばらく時間がかかるけど、どうしても描きたくなって、Twitterに短いページ数で描いたのが最初です。担当さんとも相談しつつ、少しずつ発表していたんですが、ありがたいことにちょこちょこリアクションをいただいて。それで途中からは「#バツイチアラサー女子と男子高校生」とハッシュタグをつけて、ミニ番外編のような感じで描いていました。

『#バツイチアラサー女子と男子高校生』Twitterで発表されたエピソードのひとつ。
Twitterで発表されたエピソードのひとつ。

そこから、私自身がその先をもっと描きたくなったというのが、連載として『#バツイチ~』を描くことになった一番大きい理由ですかね。我慢ができなくて……と言うか。『#バツイチ~』はpixivコミックで連載させてもらっていたんですが、連載化の話がもち上がった頃は、Twitterでいただく反響もどんどん大きくなっていった時期だったので、読んでくださったみなさんに後押ししていただく形で連載になりました。

ただ一番大事な部分として、主人公の早梅の気持ちは『#バツイチ~』では伏せておこうというのは気をつけていました。そこが私の中でも、これから『プロミス~』の中で描くのが一番楽しみな部分でもあったので、そこは描かないで『#バツイチ~』を連載しようというのは自分の中で決めていました。

――過去のインタビュー(※2)の中で、『#バツイチ~』の時間軸は「早梅と壱成が出会ってから半年後」とお話しされていますが、「半年後」と設定された理由を教えてください。
※2:「コミックナタリー」掲載 橘オレコインタビュー https://natalie.mu/comic/pp/promisecinderella

いろいろ考えたんですよね。出会いからあれこれあって、どれぐらいの時間があれば二人がこんな風に変化するだろうって。最初は半年よりもうちょっと長くかかるって思ってたんですけど、『プロミス~』の連載のことも考えて、少し短く設定したのが「半年後」という時間です。でももっと短くすればよかったなと思っています、正直(笑)。2つの連載を描いていく中で見えてきた部分もあるので。

――2つの作品を同時に描かれていて、それぞれに違いはありましたか。

『#バツイチ~』のほうは、とにかく楽しかったです。もう「自分が楽しく描ければ!」みたいな感じで描いていた部分があります。『プロミス~』のほうは、展開が結構ドロドロしちゃうんですよね。そうなるとやっぱり、描いている側も重い気持ちになるので。
私、もともと多分ドロドロしたものが好きで。『プロミス~』をドロドロさせちゃう分、『#バツイチ~』を描いて癒やされる、みたいなサイクルができていた気がします(笑)。

――2つの作品が単行本という形で出そろう訳ですが、どういうところに注目して読んでほしいですか。

『プロミス~』①巻のときの壱成は、ただのクズだったんです。お坊ちゃんで、こじらせていて。もう、どうしようもない子供なんですけど、②巻のあたりで彼にも精神的な変化が起きているんです。③巻の壱成は、その変化によって「自分」という壁にぶつかって、その壁と闘っています。まだ自分をわかっていなかった子が、早梅と出会うことで自分を知っていくっていう過程が、『プロミス~』のストーリーとしての壱成なんです。

『#バツイチ~』のほうの壱成は、もう、あのまま……あほですね、完全に(笑)。愛すべきあほです(笑)。壱成自身としては、格好つけているつもりなんですけど、あれで。つけられていないですよね。いつも描いていて、なんだか母親目線で見てしまいます。彼を育てているみたいな。「頑張れよ!」と思いながら描いています。
そのあたりの壱成の成長具合を楽しんでもらえたら嬉しいです。

  • 早梅と出会った頃の壱成。(『プロミス・シンデレラ』1巻より)
    早梅と出会った頃の壱成。
    (『プロミス・シンデレラ』①巻より)
  • 早梅と過ごす中で変化しつつある壱成。(『プロミス・シンデレラ』3巻より)
    早梅と過ごす中で変化しつつある壱成。
    (『プロミス・シンデレラ』③巻より)
――『プロミス~』の中で壱成が少しずつ成長して、連載の最新話(2019年2月現在)あたりの彼は『#バツイチ~』の壱成に追いついてきたように感じます。最後に、この後の展開について少しだけ教えてください。

そうですね。『#バツイチ~』の壱成に、もう『プロミス~』の壱成は追いついてきています。なので当初考えていた、『#バツイチ~』は半年後の話という時間の設定は、今はもうそこまで気にしていません。もともと、ちょうど今描いている、早梅と壱成が同居している時期の出来事のイメージで『#バツイチ~』を描いていましたし。

ここからはもう、いろいろな登場人物がまた増えて、いろんな出来事が起こって……。壱成が頑張るだけです(笑)。もちろん、早梅も頑張るんですが。私の中では行き着くところは見えているので、そこまでを『プロミス・シンデレラ』で描いていきたいですね。

■『プロミス・シンデレラ』3巻の試し読みはコチラ
http://shogakukan.tameshiyo.me/9784091288325
■『#バツイチアラサー女子と男子高校生』の試し読みはコチラ
http://shogakukan.tameshiyo.me/9784091288370
■マンガワン公式サイトはコチラ
http://manga-one.com/
マンガワン QR
■裏サンデー女子部公式サイトはコチラ
http://urasunday.com/jyoshibu/
『#バツイチアラサー女子と男子高校生』Twitterで発表されたエピソードのひとつ。

Twitterで発表されたエピソードのひとつ。

早梅と出会った頃の壱成。(『プロミス・シンデレラ』1巻より)

早梅と出会った頃の壱成。(『プロミス・シンデレラ』①巻より)

早梅と過ごす中で変化しつつある壱成。(『プロミス・シンデレラ』3巻より)

早梅と過ごす中で変化しつつある壱成。(『プロミス・シンデレラ』③巻より)