登美丘高校ダンス部×灼熱カバディ×送球ボーイズ熱血部活鼎談!!

【日本一熱い部活の秘密に部活漫画著者が迫る!!】

高校運動部を描く2作品、裏少年サンデーコミックス『灼熱カバディ』、『送球ボーイズ』の最新刊同時発売を記念し、「バブリーダンス」で有名な登美丘高校ダンス部コーチ・akane氏を迎えて、熱血部活鼎談を開催!!

左からakane氏、フウワイ氏、武蔵野創氏
参加者:左からakane氏、フウワイ氏、武蔵野創氏

【プロフィール】

  • ダンサー、振付師、大阪府立登美丘高校ダンス部コーチ akane氏
    akane氏

    ダンサー、振付師、大阪府立登美丘高校ダンス部コーチ。

    昨年9月、YouTubeで公開した「バブリーダンス」が5300万再生(※2018年4月時点)など大きな反響を呼ぶ。

  • 『灼熱カバディ』
    武蔵野創氏

    『灼熱カバディ』著者。部活動としてのカバディ経験はない。

  • 『送球ボーイズ』
    フウワイ氏

    『送球ボーイズ』原作者。中学・高校・大学とハンドボール部に所属。

【マイナー部はつらいよ】

――「バブリーダンス」で一躍有名になった登美丘高校ですが、普通の府立高校とのこと。練習環境はどんな感じなのでしょうか?

akane:うちの高校は部活動が盛んで部の数も多いので、もともと体育館や運動場が取り合いの状況でした。そんな中で、できたてのダンス部は取り合いにも入れてもらえない。だから最初の頃は練習場所が廊下でした。大会で結果を出していくにつれ部員が100人近くに増えて廊下が危なくなり、今は基本的に野外の空いているスペース、ダンス動画にも出てくる食堂の上・・・安全な屋上みたいな所とかで練習しています。ただ、大会前はやはりステージに近い状態で練習したいので、部員たちの実費で市の施設や体育館を借りたり。

『灼熱カバディ』4巻
甲子園出場経験もあり部員100人超の野球部に、練習場所を取られそうになるカバディ部。(『灼熱カバディ』4巻)

武蔵野:えっ、そうなんですか。あんなに結果を出しているのに?

akane:いや~、なかなか。

フウワイ:大会で賞金が出たりはしないんですか?

akane:賞金は出ませんが、スポンサーさんからTシャツや靴をいただくことはあります。最近はOB・OGの方々が練習用の鏡を買ってくださるので、鏡はけっこう増えてきました(笑)。

フウワイ武蔵野:ほぉ~。

akane:あと、ダンス部の大会はジャンルがいろいろ分かれていて、総合的で大きな大会がないんですね。全国大会と呼んでいるものもいっぱいあるので、日本一を称する学校が多いんです。そこが「ダンス部」って言葉は有名になったけれど、競技としてまだまだなところなのかなと思っています。

――ハンドボールはどうですか?

フウワイ:春に選抜大会があって、6~8月にインターハイ、10月に国体があります。全国大会はこの3つですね。

――カバディって、どういう競技体系なんでしょうか…?

武蔵野:カバディは今、大会で見るのは10チームちょっと。高校生のチームは1つ…。あ、でも最近増えてきたみたいです。

akane:それって、高校生はどこと対戦するんですか?

武蔵野:大人たちの大会にぶち込まれるんです。

一同:(笑)

武蔵野:一応80㎏までっていう体重制限はありますけど、やっぱり高校生と大人ではガタイが違うので…。大学生のOBチームくらいが強いですね。

フウワイ:高校生が大会で大人チームに勝ったら面白いね!

【理想のコーチとは!?】

――とはいえ登美丘高校ダンス部は部員が100人近くいる強豪です。レギュラー選抜はどのようにしていますか?

akane:大会ごとに人数の規定は異なりますが、うちは舞台映えを考えて40人までしか出さないと決めています。その40人を、学年関係なくオーディションで選びます。入部したての1年生でも選ばれれば大会に出ますし、逆に3年生になって出られない子もいる。シビアではありますね。

武蔵野:教えるのはakaneさんお一人なんですか?

akane:アシスタントに一人入ってもらっているんですけど、基本的には自分でやってきました。

武蔵野:えー! 大変ですよね、一人一人違うし…。

フウワイ:モチベーションを上げるのは、どうやって?

akane:難しいですけど、私はモチベーションを上げるのは結果だと思っていて。ダンスって勝ち負けがないので厳密な結果が出るわけではないんですけど、その日一番観客が沸いたかどうか。ステージ上で拍手や声援を受けて「もう一度ここに立ちたい」と感じたり、優勝したときの気持ち良さをまた味わいたくて、次につながるのかなと思います。実際、初めての大会の前は、練習でしんどいのを顔にも体にも出したり休む子もいるんですけど、優勝したら目付きが一気に変わります。次の練習から目の色を変えてやるようになるんです。

『送球ボーイズ』5巻
宮口コーチ。火鼠高校ハンド部OBで、かつてその突出した才能から「越中の牙」と呼ばれた。(『送球ボーイズ』5巻)
――『送球ボーイズ』にも何人かのコーチが登場します。ここで描かれるコーチ像は、どういうところから着想を得られていますか?

フウワイ:私がハンドボール部にいた中学高校のコーチが、非常に厳しかったんです。でもそれを漫画でやってもしょうがないなっていうのが最初からありました。今描いている火鼠高校の宮口コーチはまだ二十歳くらいの若者で、生徒に教えるのも初めて。最初は恩師を追い落とすために部員をコマのように使うつもりだったけど、頑張る彼らに報いるため、勝たせたいと思うようになる…と、ちょっとずつコーチも成長するように描いています。

【なぜカバディ、ハンドボールを漫画に?】

akane:あの、ハンドボール部はうちの高校にもあるんですけど、カバディは存じあげなくて…。なんでこのスポーツを題材に選ばれたんですか?

武蔵野:これはちょっと大人の話になってしまうんですけど(笑)。スポーツ漫画で連載をしようという話になったときに、最初はバスケットボールの漫画にしようと思ったんです。でも、担当さんに相談したときに「『SLAM DUNK』に勝てますか?」って聞かれて。僕自身『SLAM DUNK』が大好きでバスケを始めたくらいなので、「バスケ漫画ではちょっと…どうすかね…」と自信が持てなかった。それで何か別のものをやってみよう、せっかくなら誰も手をつけていないもの、だけどみんなが名前だけは知っているようなもの、と候補を挙げていって、その中で一番インパクトがあったのがカバディでした。

akane:実際に観に行って、いいなと思ったんですか?

武蔵野:はい。けっこうフィジカルが大事になってくるスポーツで、取材で見た日本代表の方のガタイがすごく良かったんです。それこそラガーマンのような。実際にやってみたら、駆け引き要素とかも面白かった。…正直まだ、観る分にはサッカーとかの方が面白いかなっていうのは、やっぱり僕もあるんですけども…。

一同:正直!(笑)

『灼熱カバディ』3巻
能京高校は初の練習試合で強豪相手に惜敗。主人公宵越は悔しさをかみしめる。(『灼熱カバディ』3巻)

akane:ただ、この漫画を読んでいると、競技が違っても「あ~こういう感情わかる」って思います。

武蔵野:カバディに寄り過ぎず、全スポーツ共通の嬉しさ、悔しさを描こうという意識はずっと持っています。

――『送球ボーイズ』はいかがですか?

フウワイ:ハンドボールを始めた中学生のときから、「なんでハンドボールの漫画がないんだろう」と思っていました。確かに1回の攻撃で1点しか入らないし、時間制限もあるので、他のスポーツと比べて逆転しづらいから漫画的な難しさはあるのですが。でも学生ながら「誰もやらないなら自分が…」という思いはずっと持っていて、今こうして連載になった形です。

akane:すごい!

【めざせメジャー化!!】

――先ほどakaneさんが「ダンス部って言葉は有名になったけど、競技としてまだまだなところがある」とおっしゃっていましたが、では「メジャーになる」というのはどういうイメージですか?

akane:ダンス部に関しては、今回いろいろなメディアで取り上げていただいたことがすごく大きかったです。これまでダンスがメインでテレビに出るということはほとんどなかったんですよね。それが今回、ダンスしかしないこの集団がテレビに出て、ダンスそのものに注目してもらえるようになってきたんです。また今年の4月に、うちのバブリーダンスの代のキャプテンが女優デビューをしました。自分が高校生の頃は、ダンスで食べていこうとしたら将来の選択肢はバックダンサーくらい。でもこれからは、ダンス部に入っていたらいろいろな未来があるかもしれないっていう段階にやっときたな、という感じはあります。

――ハンドボールはどうでしょう。オリンピック競技ですね。
『送球ボーイズ』1巻
主人公・エイトたち高校生の世代が切磋琢磨して、日本のハンドボール界の未来を担う!?(『送球ボーイズ』1巻)

フウワイ:2020年の東京オリンピックは、開催国枠で出場できます。でも実は、リオオリンピックには出られませんでした。確か夏季オリンピックで唯一日本代表が出られなかったのがハンドボール…。でも次は出られるということで、協会の方からも『送球ボーイズ』と連携していきたいと声をかけていただいています。それこそ『SLAM DUNK』のように、漫画が少年少女に与える影響は大きいので、これをきっかけに試合を見てくれたら…!

――カバディはいかがでしょう?

武蔵野:どーすればいいんでしょうか…(笑)。

一同:(笑)

武蔵野:でもインドでは国技ですから、日本でいえば相撲! 体重制限もあるので、小柄なアジア人が世界を相手に勝てる競技なんです。体験会に来る人もすごく増えたって伺っていますし、高校の部活も、登録していないだけで増えていると、僕は勝手に思っているんですけど…。さっきフウワイ先生がおっしゃったように、漫画を読んで始めてくれる子がいたらいいなって…。

akane:じゃあこの漫画が大ヒットして…。

武蔵野:はい。売るしかない…!

【部活動はいいぞ】

――最後になりますが、「熱い部活動」に関わる先生方にとって”部活の魅力”とは?

武蔵野:実は僕の学生時代は「熱い部活」とは無縁で、お金を稼ぐためにバイトを頑張っていたタイプでした。そのせいか「部活は意味がある」「ためになる」っていう言い方はあまりしたくなくて…。無意味なことに情熱を注げることこそ素晴らしいんじゃないかなと考えています。主人公の宵越はわりと合理的なキャラクターですけど、そんな彼がカバディにハマッたからやる。やり尽くした先に何かあるというのを、描いていけたらなと。

フウワイ:自分も本当に正直なことを言うと、学生時代は練習がつらかったし、部活があるから学校に行きたくない時期もありました。ずっと引退の日を指折り数えて待っていました。でも不思議なもので、いざ引退したらその瞬間から部活をやりたくなったんです。今思うとイヤイヤやっていたけど、それでも好きでやっていたんでしょうね。今でも昔の仲間と飲むと、必ず部活の思い出話にたどり着きます。何かに熱中していた期間があるっていうことは、幸せなのかなと思います。

akane:私は指導している側の人間なので、卒業していった子たちがずっと仲良くしてくれるのは嬉しいです。「あの経験があったから今がある」と思ってくれている子がほとんどなので。うまくいかなかったり、人間関係的に対立したり、いろいろなことがあると思いますけど、その経験は大人になってからも活かせる部分がたくさんある。無償でめっちゃいい経験ができるのが部活だと思います。続けることが大事なので、やめずに頑張って欲しいです。

――ありがとうございました!

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実施期間と配信タイトル・巻数はコチラ!

[実施期間] 5月31日まで ※一部の電子書店を除く。

[無料試し読み対象巻]
武蔵野創氏『灼熱カバディ』1~2集
フウワイ氏+サカズキ九氏『送球ボーイズ』1~3集
樋口大輔氏『ホイッスル!W』試し読み増量
熊田龍泉氏『栄冠は俺に輝く』1集
栗田あぐり氏『片翼シャトル』1集
川端新氏『神軍のカデット』1集
オノナツメ氏『ふたがしら』1集
梅内創太氏『四弦のエレジー』1集

『灼熱カバディ』1集の試し読みはコチラ
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