味いちもんめ 9
あべ善太 作/倉田よしみ 画
伊橋がよく行くヤキトリの屋台が、ここしばらく店を出していないようだ。屋台のオヤジさんが30年かけて作り上げたタレが入ったカメを、酔っ払いが割ってしまったからだ。心配になった伊橋は、谷沢と共にそのオヤジさんの住むアパートを訪ねる。しかし、もうタレを作る気力はないと言う
味いちもんめ 8
休日に親子三人で遊びに行き、楽しく過ごした坂巻。坂巻は、楽しかったものの子供を持つと行き先は限られるとも感じていた。そして、その休日明けの「藤村」に、小さな子供を連れた予約客がやって来た。しかし、その小さな子供が、走り回るは大声は出すはで、熊野も困ってしまう。他の客に迷惑になるので仕方な…
味いちもんめ 7
鮎の塩焼きを任されている焼方の伊橋だが、どうも出来上がりに納得がいかない。このことを相談した熊野から、日尾喜三郎という鮎料理の名人が書いた料理書を渡される。以来、鮎のことが頭から離れない伊橋は、ふと立ち寄った不思議な屋台の主人に、鮎の塩焼きの作り方の手ほどきを受けるのだが……
味いちもんめ 6
伊橋の兄の学が、前々から付き合っていた女性の上原みどりと結婚することになった。その披露宴の料理を兄から頼まれた伊橋は、ふたつ返事で引き受ける。素材の魚は、新婦の弟・太一が届けるとのこと。披露宴当日、太一の運転するトラックによって三陸から立派な鯛が運ばれて来る。無事、大役を終えた太一だった…
味いちもんめ 5
ある日、伊橋は板場の食事用としてキンピラを大量に作った。その日、見るからにヤクザと分かる2人組の客が来る。“アイツらにはこれで充分”と考えた伊橋は、昼に作ったキンピラを先付けとして出すが、弟分のヤクザは大喜びだった。その夜、伊橋は暴走族に因縁をつけられるが、さっきのチンピラに救われる。数日…
味いちもんめ 4
岩田は、「藤村」でもベテランの仲居。盛り付けの間違いや料理の味の善し悪しなど、すぐに見抜いてしまうので、花板の熊野からも一目置かれていた。だが、口の悪い伊橋は、その個性的な風貌を“オコゼ”にそっくりなどと陰でからかっていた。ある日、ボクシングの日本チャンピオン・辻本が「藤村」を訪れる。辻本…
味いちもんめ 33
“藤村”に、ある田舎ホテルから助っ人の依頼が舞いこみ、伊橋と東がでかけることになった。そのホテルに着いた伊橋は、料理の献立を見てビックリ! 刺身、ステーキ、酢豚など、和洋中ごちゃまぜだったのだ。「バラエティーに富んでいるほうが客受けがいいから」というのがその理由なのだが、伊橋はどうも気にくわ…
味いちもんめ 32
伊橋のもとに、京都の料亭「花家」に勤める清から電話がかかってくる。なにやら切羽詰まった様子で、“「花家」を辞めることになるかもしれない”と言う。追い回し時代、一緒に修業をしたこともある清の言葉に、伊橋はすぐ京都へ向かうのだが……
味いちもんめ 31
回転寿司が大流行のこの頃、でも伊橋は「あんなものは寿司屋じゃない」と言ってはばからない。そんなある日、「藤村」に天プラばかりを注文し、何を話し掛けても「放っておいてくれ」という客が現れる。そのお客に文句を言う伊橋を、親父さんは食事に誘う。でも親父さんが伊橋を連れて行ったのは、回転寿司屋だ…
味いちもんめ 30
暮れも押し迫り、忘年会シーズンで「藤村」も大忙し。そんなある日、近くの高校の教師達が「藤村」を訪れた。「生徒の学力だけを判断基準にせず、個性の尊重を大切にした教育をしよう」と熱弁をふるう教頭先生の言葉に感動する伊橋。しかし、その教頭先生に杉板焼きスダチ添えを出すと、「焼魚にはカボスが一番…
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